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Channel: 【Real.アジング~真実へ~】第5章
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【淡い青春の物語】第3話 決別

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第3話

【決別の時】


1986年 昭和61年


高橋リュウジは高校に行っても野球が続けたかった

彼の家の近所には甲子園の常連の名門高校があったのだが、その練習の厳しさをリュウジは幼いころから見ていたし、彼自身、自分の力を自覚していたのだろうか


その名門校へは行かず、自宅から約20キロ離れた野球部の歴史は浅い工業高校へ入学する。


そよぎともか、彼女は近くの普通の共学高校へ


この時、既にお互いの本当の気持ちを伝えられないまま二人の距離は少しづつ離れつつあった。




リュウジ、高校1年生の夏。


彼はこの時、2回目の挫折を味わうことになる

創部間もない彼の高校は2・3年生の上級生も少なく、リュウジの年代の新入部員を集めるのに学校ぐるみで必死だったそうだ

広島市内のあらゆる中学校から【野球部出身】の生徒を優先して合格させていたという噂もあった。


それが功を奏してリュウジの同級生の新入部員は当初は30名を超えた。

この頃からリュウジの視力は悪くなり、初めの頃はメガネをかけてプレーしていたのだが


精彩を欠くプレーばかりになった自分を自覚していた


『メガネなんて付けてたら上手くいかねぇや』


そうボヤいていたリュウジは野球が楽しくなかったみたいだった


この時、ポジションは中学生の時と同じセカンド


彼は傍から見ても守備力もバッティングも明らかに精彩を欠いていた。

その後、リュウジはコンタクトレンズを使う事によって本来の彼の力を発揮できるようになっという


第68回全国高校野球選手権大会広島大会


昭和61年7月

当時、県予選で背番号をもらえるのは【18】番まで

2.3年生の上級生の少ないメンバーでリュウジと同じ1年生で背番号をもらったのは7名。

夏の大会前には辞めてしまう新入部員も居たが一桁の背番号をもらった1年生も2人居たという。

リュウジの背番号は【18】

ギリギリもらえた背番号だった。

名門校では1年生で夏の大会に出られるだけで凄い事なのだが、歴史の浅い高校

リュウジは背番号をもらった嬉しさは微塵も無かったという

それよりも、自分より数の少ない背番号をもらっている同級生が居た事が悔しかった。


1年生の秋季リーグ

この時、リュウジは自分の野球センスや実力に限界を感じていた。

そして何より一番遊びたい年頃のリュウジは野球を挫折する。

家を出ても学校へは行かず、帰宅部のクラスの友達の家へ入り浸り、音楽ばかり聞いていた。

当時、BOOWYやレベッカが流行ってた世代である。

バイクを乗り回し始めたのこの頃だった

冬休みには髪は伸ばし、レストランでバイトもしていたリュウジ。

小さい頃から野球ばかりの彼は初めて野球から離れて同級生と遊ぶのが楽しくて仕方なかったし、

そんなリュウジはもう野球部続ける気はなかった

しかし


3学期になり彼は激変した。


その理由は

バイトをしていた事をReal星一徹ばりのリュウジの父親に見つかったらしく、長い髪のままで嫌々部活に出たリュウジに監督に言われた言葉

『お前、誰だ?野球部の部員じゃないから帰れ!』

その言葉に発奮したリュウジは監督を見返してやりたく真面目に部活に出る様になった。



その頃、ともかはテニス部に入部していた、お互いに部活が忙しくなり、二人の距離は益々離れていった





1987年 昭和62年 春

部活優先の忙しい日々を送っていたリュウジと、ともか

それでも時々早く終わった時に、ともかを家に送ることがリュウジは嬉しかったし、ともかもそれだけで楽しい時間だった。

そんな短い二人の時間だったが、ともかは相変わらず素直に想いを伝える事が出来ない

ともかの心の中では、いつもリュウジの事を想っていた。

しかしリュウジは

『ともかはホントに俺の事が好きなの?』

中学生の時からの疑問は消えないまま時は過ぎてゆく

お互いに好きな気持ちはあったのに二人の気持ちは繋がる事はなく、むしろ離れていってたのかも知れない。




第69回全国高校野球選手権大会広島大会

リュウジ2年生の夏

彼は2年生になり、レギュラーに定着していた。

ファーストとキャッチャー以外全てこなした

ピッチャーを始めたのもこの頃からだという。


夏の甲子園の予選大会、この時手にした背番号は【7】彼は1番バッターを任され初戦負けした名門の尾道商業高校相手に孤軍奮闘し3安打する

これで彼は益々自信をつけた。


リュウジ2年生の秋


練習試合でとある高校に行ったリュウジは相手チームのマネージャーに一目惚れしてしまう

そのマネジャーの事が知りたくてリュウジはブルペンで投球練習している時に

『あのマネージャーは何ていう名前なの?』

恥ずかしげもなく相手高校のピッチャーに聞いたという。


相手マネージャーの名前を知ったリュウジ


後輩の部員に

『アイツ、可愛くね?広川ユキっていうんだって』


その時リュウジは何も考えていなかったというが、後輩の部員は気を使ったのか、試合が終わって

『高橋さん!!あのマネージャーのチャリをみつけました!』


『電話番号も書いてましたよ!』


まるで手柄をとった子分みたいに嬉しそうにリュウジに報告する後輩部員。

しかも、番号を控えてくるという優秀な後輩部員。

今の時代では【ストーカー】扱いだが、当時は丁寧に自転車には名前や住所、電話番号まで書いてあった時代である。


この頃、ともかの高校も硬式野球部が発足し、仲の良い友達に誘われ、ともかはテニス部を退部し、野球部のマネージャーとなる。


しかし・・・


ともかの素直な気持ちを感じた事がなかったリュウジは、広川ユキの存在により気持ちは、ともかから離れていく。


次第にともかに対し、冷たく接するようになるリュウジ。


そして高校2年生秋

高橋リュウジと梵ともか、決別


小学6年生から心の中ではずっとリュウジの事を想っていたともかだが、そんな素直な気持ちを最後まで表すことはなかった。

リュウジも素直な気持ちを伝えてはいなかったが、何よりも広川ユキの存在と

『ともかはホントに俺の事好きなのか?』

そんな疑問のままで付き合っていたリュウジには別れてからは、当然ともかには気持ちは無くなっていた。


しかし、ともかは別れてからもリュウジの事を忘れる事はなかったという。



リュウジ2年生 11月


シーズンオフの晩秋、リュウジはこのチームの中心的選手になっていた。

投手としてもMAX140キロを投げるほど成長していたという。

そして、新しい彼女のユキの前で豪語するリュウジ

『俺、来年の春にはエースで4番になるからみとけよ』

彼はいつも自分にプレッシャーを与えて自分を追い込む事を力として頑張る性格だった。

この頃【BIGマウスリュウジ】は完全に形成されていたと思う。

ユキに宣言した手前、絶対に達成しないとカッコ悪いと考えたリュウジ

2年生の冬から春が人生で一番頑張った時期

彼はそう話していた。


1988年 昭和63年 春


リュウジは宣言通り、背番号【1】で4番を任されるようになった。

そんなある日、来週の練習試合の相手を知ったリュウジは動揺する。


その相手とは、ともかの通う高校、当然リュウジはその野球部のマネージャーにともかが居ることを知っていた。



そしてリュウジと、ともかは再会することになった。











第3話おしまい。


尚、この物語は実在する人物の証言を基にしたrealノンフィクション物語です


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